田舎に引っ越ししてきて思うこと

僕と僕の家族は、2009年に長男が生まれたのきっかけに、妻の「実家で母親と共に暮らしてあげたい」との思いと、自分自身が先天的に喘息を持っていたため「子供を少しでもきれいな空気のところで育ててあげたい」との思いから、同年10月に大阪府から山口県に引っ越ししてきました。


暮らしている場所は、世間でいう所の限界集落などの「ど田舎」ではないと思いますが、65歳以上の高齢者が全体の50%を超え、最寄り駅は家から徒歩20分、電車は1時間に1本、22時台には最終電車、車がないと全く生活ができない環境ですので、世間でいう所の「田舎」で間違いがないと思います。


そんなこんなで、田舎で暮らし始めて、今年で7年目になります。


「都会より田舎の方が良い!」「田舎より都会の方が良い!」との議論は、別の方々にお任せするとして、僕が「田舎」で暮らし始めて7年間の経験と思いと書いてみたいと思います。


田舎で暮らし始めたメリットとして、田舎に引っ越しされた多くの方も仰っていると思いますが、何より「空気がきれい」なことだと思います。大阪で暮らしていた頃は、都市高速の隣に建てられたマンションで暮らしていたこともあり、気管支拡張剤が手放せない生活を送っていました。


しかし、引っ越し後は、寒暖差の大きい冬、梅雨の時期など、喘息が出やすい時期に、気管支拡張剤を使用することはあっても、気管支拡張剤をお守りのように持ち歩くことがなくなりました。


そして、夜には星が見え、少しばかりやんちゃな方々の車のブオンブオンする音は聞こえるものの、それ意外は静かで、夏になると、田んぼから聞こえてくるカエルの鳴き声がうるさく感じるほどです。


また、僕の場合は、妻の実家に引っ越しをしたため、妻の実家は大阪で暮らしていたマンションの部屋よりも大きく、そして、毎月払い続けていた家賃、駐車場代から解放されたことで、心の負担が解放されたことは何よりも大きいものがありました。


残念ながらパッと思いつく「田舎での暮らしの良いところ」は以上です。


以下に書く内容は、決して「田舎での暮らしの悪い良いところ」ではありませんが、それなりに色々あったことを、思い出しながらまとめてみようと思います。


「田舎」に引っ越し後、最初の3ヶ月の生活は気楽なものでした。


引っ越し後は、個人事業者としての独立も視野に入れていましたが、「コネなし、金なし、仕事なし」の状態で、仕事を受注できる当てもなかったため「給料があった方が安全に違いない」と判断し、毎週のように、ハローワークに通っていました。


そして、ハローワークに通い続けて気が付いたことは、自分の大阪でやっていた仕事の求人が全くないということでした。求人のある仕事のほとんどは「美容師」か「介護職」で、どちらも未経験な上に、どちらも車がないと通勤すらできない状態でした。


その頃、自宅には妻の所有していた軽自動車が1台ありましたが、自分が仕事で使うと、妻がどこにも行けなくなるため、車を1台購入する必要がありました。


車を購入するお金などはなく、また、幼少期より公共の交通機関での移動を当然とする環境で育ったため、自分自身としては可能な限り車の運転を避けたいという思いが心のどこかにあり、電車での通勤が可能な仕事に絞って探すとなると、ほぼ「ない」に等しい状態でした。


結局、引っ越しから、半年後に勢いだけで、在宅の個人事業者になりました。
個人事業者になってからの数年間、そして、今も厳しいものがありますが、それは人様に語るような内容でもないので…


田舎での暮らしは、家が広く、漫画を何冊買っても置く場所があり快適そのものでしたが、家が広かったために、中々の額の固定資産税を払うことになりました。また、家族が増えたことで、妻の軽自動車を処分し、人生で初めて家族で乗るための車を購入したために、自動車税、車検、ガソリン代などの維持管理費用に追われることになりました。


僕は在宅の個人事業者のため、それなりに苦労はあるものの、所有する車は1台ですが、ご近所では車は2台所有しているのが一般的なため、我が家よりも多くの自動車税、車検、ガソリン代などの維持管理費用に追われることになると思います。


そして、毎年「こんにちは」とばかりに、住民税の請求もやって来ますし、また、個人事業者のため、個人年金国民健康保険、子供たちの学資保険などなど、色々なものがやって来ます。


お金の話は別にして、まずなにより「田舎ではご近所の方から野菜がもらえる」と思っている方も多いかもしれませんが、僕もそんなことを思っていた1人でしたが、そんなことはまずあり得ません。


僕は家で仕事をしているので、仕事が詰まってくると家からほとんど出ることがなくなるため、近所の方からすると、いるのかいないのか分からないような「透明人間」のような存在になります。


野菜をもらえるどころか、近所を歩いていても通り過ぎる人たちに「あいつはどこの人間だ…」と言うような目で見られますが、2014年4月から暮らしている地区の自治会の役員を引き受けたことで多くのご老体と会話をするようになったことで、ついに!野菜や!チヌ(クロダイ)や!タコを!がもらえる存在となりました!


近所をポストに請求書を投函するために歩いていると、往復で10分で済むような距離でも、数人の方に声をかけられ、皆さんと会話をして、30分ぐらいかかることもあります。


世間的に僕は「Iターン」だそうですが、僕としては「妻についてきターン」と自覚しており、山口を人生の死に場所と決めて引っ越しをしてきたつもりでした。


ですが、ずっと自分の居場所がないような感覚を抱えていました。
人間は家族以外の他者から必要とされるようになって、初めて自分の居場所のようなものを実感するのかもしれません。


今、僕は自分の居場所を見つけたのかもしれません。
きっと、これからもこの「田舎」で暮らしていくんだと思っています。